AIがどれくらい使われているのかを数字で知りたくなって、一次の資料を当たってみました。やってみて分かったのは、きちんと測られている数字と、誰も測っていない数字が、はっきり分かれていることでした。
前半は測れた数字をそのまま並べます。後半は、測られていない1つを推計してみます。推計は答えとして出すよりも、どう計算したかを見せるほうが役に立つと思うので、そういう形にしました。数字そのものより読み方のほうが大事だという話は、スペック表の記事でも書きました。
得られたデータから見てみると日本のAI需要は確実に伸びてはいますが、AI先進国と比較するとまだまだ遅れている印象です。ですがこれはチャンスとも言えます。良く言えば慎重とも捉えられるこの国で先行して一歩を踏み出す機会が転がっているのではないでしょうか?

世界で何割の人がAIを使っている?
いちばん高い中国で93.6%、日本は58.8%です。
総務省の令和8年版 情報通信白書に、4か国を並べた調査が載っています。「生成AIサービスを使っている(過去使ったことがある)」と答えた人の割合です。
| 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | |
|---|---|---|---|
| 日本 | 9.1% | 26.7% | 58.8% |
| 米国 | 46.3% | 68.8% | 75.6% |
| ドイツ | 34.6% | 59.2% | 75.6% |
| 中国 | 56.3% | 81.2% | 93.6% |
日本は1年で26.7%から58.8%へ、2.2倍。伸び幅では4か国で最大ですが、水準はまだ最下位です。
使っている人は、どれくらいの頻度で使っている?
日本で「ほぼ毎日」は29.9%、米国は47.9%です。
同じ白書に利用頻度の分布も載っています。経験率より、こちらのほうが差が出ます。
| ほぼ毎日(1時間/日以上) | ほぼ毎日(1時間/日未満) | 週に1回以上 | |
|---|---|---|---|
| 日本 | 11.1% | 18.8% | 35.5% |
| 米国 | 25.4% | 22.5% | 28.4% |
| ドイツ | 19.7% | 25.8% | 30.9% |
| 中国 | 17.0% | 25.5% | 44.2% |
「1時間以上使う人」は日本11.1%に対して米国25.4%で、2倍以上の開きです。触った人の数は追いついてきたが、毎日の道具になっているかはまだ差がある、と読めます。
開発者は何を使っている?
Visual Studio Codeが75.9%、Cursorが17.9%、Claude Codeが9.7%です。
Stack Overflowの2025年開発者調査から(回答26,143件)。
| ツール | 利用率 |
|---|---|
| Visual Studio Code | 75.9% |
| Cursor | 17.9% |
| Claude Code | 9.7% |
| Zed | 7.3% |
| Windsurf | 4.9% |
| Cline / Roo | 2.2% |
| Aider | 1.9% |
モデル別ではOpenAI GPT 81.4%、Claude Sonnet 42.8%、Gemini Flash 35.3%でした。
同じ調査では84%が「AIツールを使っている、または使う予定」、プロの開発者の51%が毎日使っているとされています。一方で正確性は、信頼していない46%が信頼している33%を上回り、「強く信頼している」は3%。使ってはいるが信用はしていない、という状態です。
ちなみにCodexは調査の選択肢に入っていません。Google Antigravityは調査の後に出たものなので、こちらも入っていません。この2つは比較できる数字がまだ存在しない、というのが現状です。
日本では何が使われている?
ChatGPTが36.2%、Geminiが25.0%です。
調査会社ICT総研が2026年2月に出した調査から、利用経験者に占める利用率です(ICT総研調べ)。
| サービス | 利用率 |
|---|---|
| ChatGPT | 36.2% |
| Gemini | 25.0% |
| Microsoft Copilot | 13.3% |
| Claude | 4.3% |
| Perplexity | 4.0% |
同じ調査では、日本国内の利用者数を2026年末で3,553万人と見込んでいます。こちらは実測ではなく同社の推計値です。
誰も公表していない数字がある
「お金を払っている人が何割か」です。
ここまでの数字は、どれも調査として測られたものです。ところが有料プランに課金している人の割合は、一次の数字が出てきません。
- OpenAI、Anthropic、Googleとも有料転換率を公表していません
- 総務省の白書にも、ICT総研の調査にも項目がありません
検索すると「日本の課金率は2.3%」といった数字は出てきますが、たどると個人の記事に行き着きます。出どころが確認できな勝ったので使えませんでした。
つまりここは測られていない数字です。
測れないのなら、推計してみる
計算のしかたを全部書いてみました。数字そのものより、こちらのほうが持ち帰れると思うからです。
使うのは、ここまでに出てきた実測値だけです。

土台にする数字
| 使うもの | 値 | 出どころ |
|---|---|---|
| 日本の生成AI利用者数 | 3,553万人 | ICT総研(2026年末見込み) |
| うち1時間/日以上使う人 | 11.1% | 総務省 白書 |
| うちほぼ毎日使う人(合計) | 29.9% | 総務省 白書 |
掛け算すると、1時間/日以上の層が約394万人、ほぼ毎日の層が約1,062万人。ここまでは実測どうしの掛け算なので、大きくは外れません。問題は次です。
この層の何割が課金しているか。誰も測っていないので、ここは仮に置きます。
置いた数字に根拠はありません。そこで2つの違うルートで計算し、同じあたりに着地するかを見ます。公表値どうしを引き算した例は子どもとAIのルールの記事でもやりましたが、あちらは足し引きだけで済んだぶん、こちらより確からしさは上です。
| ルート | 置いた仮定 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 1. 濃い層から | 1時間/日以上の層の25〜35%が課金 | 394万 × 25〜35% | 約99万〜138万人 |
| 2. 毎日層から | ほぼ毎日の層の8〜12%が課金 | 1,062万 × 8〜12% | 約85万〜128万人 |
2つのルートが、どちらも100万人前後に着地しました。 利用者3,553万人に対して、およそ2.4%から3.9%です。
違う道から入って近い答えが出たなら、桁としては大きく外していない可能性が高い。逆に片方だけ極端にずれていたら、置いた仮定のどちらかが変だと分かります。この検算のために2ルートで計算しています。
この推計のいちばん弱いところ
置いた仮定が、そのまま答えを決めてしまうことです。
ルート1の仮定だけを動かしてみます。
| 課金率の仮定 | 推計値 |
|---|---|
| 20% | 約79万人 |
| 30% | 約118万人 |
| 40% | 約158万人 |
仮定を2倍にすると、答えも2倍になります。 当たり前ですが、これが推計の実像です。もっともらしい表の形をしていても、結論を左右している数字が根拠のない仮定なら、答えはその仮定の言い換えでしかありません。
ほかにも弱いところがあります。
- 法人契約が入っていません。会社がまとめて契約している分は個人の課金として見えません
- 無料枠で足りる人の割合を織り込んでいません。ここも実測がありません
- 土台の3,553万人自体が推計値です。推計の上に推計を重ねています
AIに数字を出させると、こうした前提の弱さは表に出てきません。きれいな表と断定的な文章が返ってくるので、そのまま信じたくなります。AIにわざとウソをつかせてみた記事でも書いたとおり、出力の見た目と中身の確からしさは別です。推計をAIにやらせるなら、置いた仮定を1つずつ出させて、そこを動かしたとき答えがどう動くかまで見る。そこが最低限だと考えています。
まとめ
- 生成AIの利用経験率は、日本58.8%・米国75.6%・ドイツ75.6%・中国93.6%(2025年度)。日本は1年で2.2倍に伸びたが、水準は最下位
- 頻度で見ると差はもっと大きい。「1時間/日以上」は日本11.1%に対して米国25.4%
- 開発者のツールはVisual Studio Code 75.9%、Cursor 17.9%、Claude Code 9.7%。CodexとGoogle Antigravityは調査項目に無く、比較できる数字がまだ無い
- 課金率はどこも公表していない。ここだけが測られていない
- 推計は2ルートで検算して約85万〜138万人(利用者の2.4〜3.9%)に着地したが、仮定を2倍にすれば答えも2倍になる。数字より計算過程のほうが持ち帰る価値がある
並べていて意外だったのは、日本の伸び方でした。1年で2.2倍ということは、去年書いていたら「まだ4人に1人」で終わっていたわけです。今日の数字は来年には古くなります。だから出どころと確認日を全部載せました。同じ資料に当たれるようにしておくのが、いちばん誠実だと思っています。
参考文献
- 総務省「令和8年版 情報通信白書」データ集(2026年8月19日確認)
- 総務省「令和7年版 情報通信白書」個人におけるAI利用の現状(2026年8月19日確認)
- Stack Overflow Developer Survey 2025 Technology(2026年8月19日確認)
- Stack Overflow Developer Survey 2025 AI(2026年8月19日確認)
- 株式会社ICT総研「2026年2月 生成AIサービス利用動向に関する調査」(2026年2月20日発表・2026年8月19日確認)
※日本国内の利用者数およびサービス別利用率はICT総研調べです。同社リリースには、記載の数値が同社アナリストによる記述・推計であり企業や公的機関の公表値と異なる場合がある旨の注記があります。※本記事後半の課金者数の推計は、公表されている実測値に当サイトが仮定を加えて計算したものであり、調査結果ではありません。仮定の置き方によって結果は大きく変わります。※各数値は調査時点のものです。

