AIボイスレコーダーの価格帯が、少し下がってきました。2026年6月には2万円を切るモデルも出ています。
こうなると気になるのは「安いほうで足りるのでは」という点だと思います。ただ、比較表を横に並べて数字の大きいほうを選ぶやり方は、あまりうまくいきません。横に並んだ数字が、同じものを測っているとは限らないからです。この記事では、どの行を見て、どの行を無視しているかを書きます。
各社が公表している数字は、どう違うのか?
まず、公式が出している値だけを並べます。
2026年6月12日にiFLYTEKが2機種を発売しました。公式プレスリリースによると、発売時点の価格は「P1」が19,800円(税込)、「P1 Pro」が29,800円(税込)です。両機種とも11言語のリアルタイム文字起こしと相互翻訳に対応し、話者を自動で区別すると記載されています。
| 公式が公表している項目 | iFLYTEK P1 | iFLYTEK P1 Pro | Plaud Note Pro |
|---|---|---|---|
| 対応言語 | 11言語 | 11言語 | 112言語 |
| マイク | デュアルマイク | 指向性1基+全方位2基 | MEMSマイク×4、VPU×1 |
| 収音距離 | 数値の記載なし | 数値の記載なし | 最大5m |
| 本体の画面 | 0.56インチ | 3インチOLEDタッチ | AMOLEDディスプレイ |
| 連続録音 | 最大25時間(300mAh) | 時間の記載なし(420mAh) | 最大30時間・音声強化モード(500mAh) |
この表で私がいちばん気になったのは、収音距離の行です。片方は「最大5m」という数値を出していて、もう片方は「離れた席の声まで捉える」という表現で、数値の記載が見当たりません。
つまりこの行は、横に並んではいるものの、比較にはなっていません。ランキング記事はここを空欄にせず埋めてしまうことがありますが、公式が出していない数字は、誰かが推定したものです。

対応言語112と11、この差は自分に関係するか?
日本語しか使わないなら、この行は無視してかまいません。
数字で見ると10倍の差ですが、使う言語が1つなら、112も11も同じです。私は日本語の会議でしか使っていないので、この差を実感したことがありません。
はっきり書いておくと、私がNote Proを使っている理由は、対応言語の数ではありません。そこを選ぶ理由にすると、読む人の判断を誤らせると思います。
逆に、外国語が混ざる場面が多い人にとっては見方が変わります。iFLYTEK側は11言語の「相互翻訳」を前面に出していて、翻訳まで含めた使い方を想定した作りに見えます。言語数の多さと、翻訳のしやすさは別の話です。自分がどちらを求めているかで、見る行が変わります。
なお、多言語での実際の精度は運営者として試していないので、ここは評価しません。
マイクの本数は、そのまま集音力になるのか?
本数は条件のひとつで、それだけでは決まらないと考えています。
マイクの一般的な仕組みはピンマイクの記事に書きました。要点は、音は距離が離れるほど不利になり、複数の声が重なるほど分けにくくなるということです。マイクを増やすのは、この不利を減らすための手段のひとつです。
先ほどの表のとおり、公式が数値を出しているのは片方だけです。だから「3マイクと4マイク、どちらが遠くまで拾えるか」は、公表されている情報だけでは判断できません。ここを断定している記事があれば、根拠を確認したほうがよいと思います。
参考になるのは、数字よりも自分の使い方に近い実例のほうです。私はざわざわした部屋で録った記事に、膝の上に置いた状態で主に話す人の声が拾えたことを書きました。ただしこれは私の環境で起きた1回のことなので、他の機種でどうなるかは分かりません。
本体に画面があると、何が変わるのか?
本体だけで確認を済ませたいなら、画面の大きい機種のほうが向く場面があります。
iFLYTEKのP1 Proは3インチのOLEDタッチスクリーンを搭載し、録音状況や文字起こしの確認・操作が本体だけで完結すると公式に記載されています。Plaudの比較ページには、Note Proのディスプレイは「すぐに確認できるAMOLEDディスプレイ」と書かれています。
この論点はAutoMemoとの比較記事でも扱いました。そのときと同じことを書きますが、本体で完結できるかどうかは、画面の大きい機種に分があります。私はアプリとデスクトップで読む使い方に慣れてしまったので不便を感じていませんが、スマホを開かずに済ませたい人には差になるはずです。
自分が録ったあとにどこで読むのかを先に決めておくと、この行を見るべきかどうかが決まります。
本体価格だけを比べると、何を見落とすのか?
使い続ける費用が、本体価格とは別にかかります。
AIボイスレコーダーは、本体を買えば終わりではありません。文字起こしできる時間がプランで決まっている場合があり、そこを超えると追加の費用が出ます。この構造は料金プランの記事に書きました。差の中心は機能ではなく、月にどれだけ文字起こしできるかでした。
本体が1万円安くても、毎月超過するなら差は縮まります。逆に月に数回しか使わないなら、本体の安いほうが素直です。各社の料金体系はそれぞれ違うので、本体価格を比べる前に、そちらを確認しておくほうが順番として正しいと考えています。
なおiFLYTEK側については、専用アプリにPro会員プランがあることまでは公式に記載がありますが、料金の内訳は確認していないため比較していません。
結局、見るべき数字はどれなのか?
自分の使い方に置き換えられる3つだけです。
- どのくらいの距離から録るか。目の前に置くのか、会議室の反対側まで拾いたいのか。ここが決まると、収音距離の数値が意味を持ちます
- どの言語を使うか。日本語だけなら言語数の行は飛ばせます。翻訳まで必要なら別の機種が候補に入ります
- 録ったあと、どこで読むか。本体で済ませたいなら画面、スマホやPCで読むなら画面の大きさは差になりません
残りの行は、正直なところ私は見ていません。買うタイミングそのものを迷っている場合は、いま買うか待つかの記事に判断の材料をまとめました。
他社の製品を、この記事はどう扱っている?
実際に使っているのはPlaud Note Proだけなので、他社製品は評価しません。
この記事に書いたiFLYTEKの内容は、すべて公式プレスリリースに記載があることだけです。使い勝手や文字起こしの精度は、手元で確かめていないので書けません。よい悪いを言える立場にないという意味です。
そのぶん、公式が言っていることと言っていないことは、はっきり分けて書いたつもりです。収音距離の数値が片方にしかない、という指摘がその例です。読む人が自分で確かめられる形にしておくのが、実機を持っていない製品に対して取れる誠実な扱いだと考えています。
機種選びの全体像はAIボイスレコーダーの選び方にまとめてあります。
まとめ
スペック表を見るときにしていることは、次の3つです。
- 同じ測り方の数字か確かめる。片方だけ数値がない行は、比較になっていない
- 自分の使い方に置き換わる行だけ見る。距離・言語・読む場所の3つ
- 本体価格の外側を見る。使い続ける費用は本体とは別にかかる
安い機種で足りるかどうかは、この3つを自分に当てはめれば出ます。数字の大きさで決まる話ではないと考えています。

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参考文献
- iFLYTEK JAPAN AI SOLUTIONS株式会社 公式プレスリリース(2026年6月12日発売)(2026年8月9日確認)
- Plaud公式 デバイス比較ページ(2026年8月9日確認)
- Plaud公式 Note Pro 商品ページ(2026年8月9日確認)
※記載した他社製品の価格は公式プレスリリースの発売時点のものです。仕様・価格・提供内容は更新されることがあるため、購入前に各社の公式ページで最新の内容をご確認ください。

