AIボイスレコーダーが刺さる業種 その11・ライター|「たしかこう言っていた」を、原稿を書く前に確かめられる

AIボイスレコーダーが刺さる業種 その11・ライター|「たしかこう言っていた」を、原稿を書く前に確かめられる 業種別の使い方
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本記事はAIを利用して作成しています。

取材が終わってから、原稿を書き始めるまでに時間が空くことがあります。手元にあるのはメモと記憶で、書きながら「たしかこう言っていた」と思い出す場面が出てくる。その言い回しで合っているのか、前後で条件がついていなかったか。確かめようがないまま、少し弱めて書くことになります。

ですが、その場の音が残っていれば、書く前に本人の言葉へ戻れます。

この記事は職業別シリーズの11回目です。録音や文字起こしの使い方そのものは第10話までに書いたので、ここではライターと記者に固有のところを取り上げます。

メモを取るほど、聞くほうが浅くなる

取材中にやっていることは、聞くことだけではありません。相手の答えを受けて、次に何を聞くかを決めています。話が広がったら追いかけ、逸れたら戻す。その判断の最中に、発言をそのまま書き取るのは難しい。

メモに集中すれば、相手の表情や、言いよどんだ場面を見落とします。逆に聞くことに集中すれば、メモは要点だけになる。どちらを取っても、原稿で使いたい言い回しは薄くなっていきます。

原稿を書く前に、本人の言葉へ戻れる

音が残っていれば、書きながら迷ったところで元の発言を確かめられます。

ここで生きるのは、言い回しそのものです。「やめた」と「やめることにした」では、原稿に載せたときの意味が変わります。条件つきで話していたのか、言い切っていたのか。要約ではなく、言葉の形まで戻れるのが録音の役どころだと考えています。

固有名詞も同じです。社名や商品名、人名の表記は、取材中に確認しきれないことがある。文字起こしに残っていれば後から照合できますし、よく出てくる語を先に登録しておけば、変換のぶれを減らせます。やり方は文字起こしで名前が毎回違う字になるときに書きました。

文字にすると平らになるものが、音には残っている

文字起こしは、発言を同じ重さに揃えてしまいます。即答だったのか、少し間があってから出てきた言葉なのか、文字の上では区別がつきません。

原稿でその人らしさを出そうとするとき、判断の材料になるのはそこです。「あれはよかったですね」と即座に返ってきたのか、一度言いよどんでから出てきたのか。笑いながら言ったのか、声を落として言ったのか。同じ一文でも、原稿に置いたときの温度が変わります。

この違いは、書く直前に聞き直すと分かります。文字起こしで構成を組んで、引用に使う場面だけ音に戻る。その順番なら、全部を聞き直さずに進められます。

ただし、言いよどみをそのまま書き起こすかどうかは別の判断です。残せば生々しくなり、削れば読みやすくなる。どちらを取るかは書き手が決めるところで、音はその判断の材料を増やしてくれるだけだと考えています。

誰の発言かが分かれていると、構成を組みやすい

複数人に同時に話を聞く取材だと、文字起こしが一続きになって、あとで誰の発言か分からなくなることがあります。話者が分かれて表示されると、そのまま構成の材料になる。機能については話者の聞き分けへ。

取材が何本も溜まってくると、今度は探すほうが手間になります。過去の取材から関連する発言を引くときの整理は文字起こしが溜まって探せないときの3つの習慣にまとめました。

オフレコも本記事も、録音では同じ1本に入っている

ここがライターと記者に固有のところです。

取材では、書いていい話と書かない約束の話が、同じ時間の中で行き来します。「ここからはオフレコで」と言われた部分も、録音のうえでは本記事の部分と同じ1本のファイルに入ります。録音する側に区別はありません。

文字起こしにすると、その状態のまま文章になります。クラウドに上げて処理するなら、書かない約束をした話も一緒に渡っていく。録音を持つというのは、書かないと決めた話まで手元に持ち続けることだと考えておいたほうがいいと思います。

これは録音をやめる理由ではなく、扱いを決める理由です。どこに置くか、いつ消すか、オフレコの部分を文字起こしから外すかどうか。取材のたびに考えるのではなく、先に決めておくほうが迷いません。データがどこへ渡るのかはデータの扱いをまとめた記事、消す時期の決め方は録音データはいつ消せばいいかへ。

録音することを相手に伝えるときの考え方は取引先との会議、AIで録音していい?に書いています。

法律は、取材の録音を細かく決めていない

最後に、制度の話をまとめて置いておきます。飛ばしても本文の理解には困りません。

個人情報保護法は、報道や著述を仕事にしている人を、事業者の義務を定めた章の対象から外しています。

個人情報取扱事業者等及び個人関連情報取扱事業者のうち次の各号に掲げる者については、その個人情報等及び個人関連情報を取り扱う目的の全部又は一部がそれぞれ当該各号に規定する目的であるときは、この章の規定は、適用しない。

対象として挙げられているのは、第1号が「放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(報道を業として行う個人を含む。)」で報道の用に供する目的、第2号が「著述を業として行う者」で著述の用に供する目的です。組織に属していない個人も、報道を業として行うなら含まれる書き方になっています。報道の意味も条文にあり、「不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること」とされている。

ただし、外れて終わりではありません。同じ条文の続きです。

第一項各号に掲げる個人情報取扱事業者等は、個人データ、仮名加工情報又は匿名加工情報の安全管理のために必要かつ適切な措置…当該措置の内容を公表するよう努めなければならない。

安全管理の措置は努力義務として残り、しかもその内容を公表するよう努めると書かれています。細かい手順は決められていない代わりに、自分で決めて示す側に回る、という構図です。

オフレコについては、日本新聞協会編集委員会が1996年に見解を出しています。

オフレコ(オフ・ザ・レコード)は、ニュースソース側と取材記者側が相互に確認し、納得したうえで、外部に漏らさないことなど、一定の条件のもとに情報の提供を受ける取材方法

この見解は、オフレコを「取材源の秘匿」「記者の証言拒絶権」と同じ次元のものとし、その約束には破られてはならない道義的責任があるとしています。同時に、オフレコ取材の乱用を戒めてもいます。

なお、自分が適用除外に当たるかどうかは、仕事の形によって変わります。判断が要る場面では、条文の当てはめを専門家に確認してください。

まとめ

取材の録音がいちばん働くのは、原稿を書いている最中です。「たしかこう言っていた」で止まったところから、本人の言葉に戻れる。言い回しの形まで確かめられるので、弱めて書かずに済むはずです。

一方で、録音には書かない約束をした話も同じように残ります。法律は取材の録音を細かく決めていない代わりに、安全管理の措置は自分で決めて示すことになっている。置き場所と消す時期を先に決めておくところまでが、取材の道具としての録音だと考えています。

聞くことに集中できる時間が増えれば、取材そのものも変わっていくはずです。

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参考文献

  • 個人情報の保護に関する法律 第57条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000057 (2026年9月16日確認)
  • 日本新聞協会編集委員会「オフレコ問題に関する日本新聞協会編集委員会の見解」(1996年2月14日) https://www.pressnet.or.jp/statement/report/960214_104.html (2026年9月16日確認)

本記事は法令と公開されている見解にもとづく一般的な整理です。適用除外の当てはめ、録音データの扱い、オフレコの取り決めについては、所属先の方針や専門家の確認にしたがってください。

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